我が家は伊勢崎市の北部で、2つの公園の中間地点くらいに位置している。
2つの公園とは華蔵寺公園と波志江沼環境ふれあい公園である。

華蔵寺公園は伊勢崎市の象徴とされる観覧車もあり、市外の人たちから見ても伊勢崎市を代表する観光スポットと言える場所だ。
一方の波志江沼環境ふれあい公園は緑化フェアの会場にもなった、この数年の間に整備された比較的新しい公園だ。

先週末、我が家は両方の公園に出かけてみた。
土曜日は波志江沼へ。
園内には多くの桜の木があり、6〜7分咲きくらいだろうか。
我々が訪れたのは夕方の時間帯ではあったが、利用者はまばら。
犬を連れた夫妻や子供の姿がちらほら見えるだけ。

この公園を巡っては、前市長が大きな観覧車を建設するという計画を提案し、反対する市民との間で大論争となった。
その様子はみのもんたの朝の番組でも取り上げられ、市側が利用を予定していた合併特例債も総務省から待ったがかかり、既に発注済みだった業者との間で裁判が行われた結果、伊勢崎市側が1億円近い賠償金を支払う決着となった事は多くの市民がご存じのはずだ。

この公園の利用者が少ない理由として、その立地条件があると思う。
ここは合併前の旧市街北端にあり、上州名物赤城おろしが吹きさらしになる非常に寒いイメージがある場所である。
もともと鯉の養殖を目的に作られた人口の沼のようで、周囲に風を遮るような雑木林やフェンスなどは全くない。
この辺りの様子を知っている市民なら、恐らく秋から春にかけての年の1/3くらいの期間はこの付近へは近づきたくないと考えているのではないだろうか。
こんなところに巨額の費用を投じて観覧車など作ったらとんでもない事になるのは、このプロジェクトに関わった人たちでも想像できていたのではないだろうかと思う。

前市長がこの地域の出身である事から、自分の実績を残したいとの思いで企画したものと考えられるが、それに反対できなかった議員の存在価値ってなんなのだろう。

市役所も市議会も市長も、すべては市民の幸せのために存在する制度である。
この公園を整備するのにどれだけの予算が投じられているか分からないが、本来の目的を忘れてピントはずれな施設を作った結果、膨大な税金の損失が発生してしまった訳で、2度と繰り返さない誓いを込めて前市長の名前を刻んだ石碑でも建てたらどうだろうかと感じた時間だった。

翌日曜日、今度は親戚の子供と一緒に華蔵寺公園へでかけた。
天気も快晴でまさに春らんまん。
園内は非常に混雑していて、アトラクション乗り場には長い行列が作られていた。
この公園も入場料収入では賄えずに毎年赤字を計上している。
しかし、老朽化しているため、波志江沼に観覧車ができた後には取り壊すとされていた観覧車が未だに利用されている事を除けば、市民の理解は得られるはずだ。