ある企業の経営者の方から、エクセルの動作が遅くなったという相談を頂きましたので早速訪問し、状況を確認してみました。

その方は社員の出勤簿をエクセルで作成していて、そこで記録した勤務時間に基づいて給与計算を行っています。

確認したところ、そのエクセルのブックを開くのに数分間もかかる状況になっていました。

ブックが開くまでの数分間という時間はとてつもなく長く感じられます。
ファイルサイズを確認したところ約30MB程。
10名程の社員の12ヶ月分の出勤簿にしてはサイズが大き過ぎます。

これを見て原因が分かりました。

エクセルのブックは、開く -> 編集 -> 保存 というサイクルを何100回、あるいは1,000回以上も繰り返すと、ブックの中に"ゴミ"が蓄積されていく事が分かっています。

そして、エクセルにはそのゴミ(贅肉といってもいいかもしれません)を掃除してきれいなブックにするという機能はありません。

これを解決するためのシェアウェアがいくつか公開されていますが、私自身が使った事のないソフトですので機能についてはコメントできません。

このような、ゴミのためにパフォーマンスが低下する事態を回避するためには、利用方法を工夫する必要があります。

つまり、今回の出勤簿や売上日計表など、毎日開いて編集する必要のあるブックは、1年程度を上限にしてそれ以上はコピーして使用しないほうがいいという事です。

この場合、最初にテンプレートを作成しておき、1年が終了したら新年度からはそのテンプレートから新規に作成したブックを使用するようにすればブックがゴミで膨れ上がる事はないはずです。

今回のお客様の場合も、私がテンプレートを作成して、新しいブックはこれをコピーして使うようご指導しました。

当然ですが新しいブックは瞬時に開くようになりお客様には満足いただいたようです。

マイクロソフトは数年おきに、一般の利用者が使うがどうかも分からないような機能を追加したソフトを新製品として発売しますが、実はこういった基本的な使い勝手に関わる部分は改善されていないのです。

こういった現象が避けられないのなら、せめて溜まったゴミを掃除する機能をもったソフトを同梱するなどの配慮が欲しいところです。