あれはまだ私が幼稚園に上がる前だったろうか。
農業を営む両親に連れられて畑に行き、仕事をしている間近くで遊んだり、できる事を手伝ったりして一日を過ごす事が多かった。
その日も同じように畑の脇の草の上に寝そべったり虫を探したりして遊んでいた。
近くには用水路が流れ、それに沿ってレンゲが咲き乱れていた。
こうすると指輪になるんだよ と一緒に来ていた姉に教わり、摘み取った花を指にはめて笑っていた遠い春の一日。
寝転んで見た空はどこまでも青かった。
戻りたくても戻れない幼い日。
穏やかな冬の日の陽だまりで、ふとそんな事を思い出した。